2024年11月15−16日に、「第12回サステイナブルキャンパス推進協議会(CAS-Net JAPAN)2024年次大会」が京都大学で開催され、朴 恵淑三重大学地域イノベーション学研究科客員教授・三重GPN代表幹事・東洋紡楠リノベーションセンター(TRC)顧問がCAS-Net JAPANの代表理事(会長)として参加しました。
「第12回サステイナブルキャンパス推進協議会(CAS-Net JAPAN)2024年次大会」のテーマは、「地域と共に創る環境と経済の好循環〜京(きょう)からはじめる行動変容」とし、大学を中心とする地域・日本・アジア・世界の産官学民とのグローバルパートナーシップによる、持続可能な循環型社会創生(サーキュラーエコノミー)および脱炭素社会創生(カーボンニュートラル)のための戦略的取り組みを探る年次大会でした。
大会初日の開催挨拶において、朴 恵淑CAS-Net JAPANの代表理事(会長)は、CAS-Net JAPANは、2014年3月に発足され、2022年4月に一般社団法人として法人格を取得し、大学だけでなく、学生団体、企業、行政にも会員として参加しやすい組織体系を構築し、運営していることに言及しました。また、日本の大学だけでなく、韓国・中国・タイの国際大学間ネットワーク(ASCN)を構築し、グローバルとローカルを繋ぐグローカル連携によって、「CAS-Net JAPAN」の発展的展開が大いに期待できると強調し、本大会がそのターニングポイントとなれるよう、会員の総力をあげて、成功させようと力強く語りました。
引き続き、京都大学の環境担当の江上雅彦理事の挨拶、来賓挨拶として、経済産業省資源エネルギー庁の山田 努課長、京都府商工労働観光部の上林秀行部長、京都市の産業観光局の中筋裕則室長からの挨拶が行われました。
基調講演として、経済産業省、京都府、京都市のエネルギー戦略について発表が行われ、招待講演として「調エネ実践の最前線」をテーマに、中部電力ミライズ(株)、オムロンソーシャルソリューションズ(株)、(株)ジーエス・コアサコーボレーション、(株)Balance Responsible Party、ダイキン工業(株)、日新電気(株)からの創エネ・蓄エネ・省エネへの取り組みについての講演が行われました。その後、企業パネルセッションと情報交換会が行われ、産官学民の連携がさらに深まりました。特に、中部電力ミライズ(株)の臼井太郎本部長とは、地球温暖化による気候危機とエネルギー危機への対応において、エネルギー関連の企業と大学との緊密な連携について、活発な意見交換を行いました。
大会2日目は、事例発表分科会・サステイナブルキャンパス賞(SC賞)表彰式および事例発表が行われ、最も支持された取り組みへの特別賞の表彰も行われました。
朴 恵淑CAS-Net JAPANの代表理事(会長)は、SC賞の審査委員長としての総評において、サステイナブルキャンパス賞(SC賞)は、今年で10回目となる節目の年に相応しい素晴らしい取り組みが多く、建築・設備部門、大学運営・地域連携部門、学生活動部門、民間事業者部門の4部門において、受賞された大学および企業の取り組みは、大変素晴らしく、今後のさらなる発展的展開に大きな期待が持てると述べました。
建築・設備部門のSC賞は、「北海道大学ワイン教育研究センター棟ならびにワイン庫」の取り組みが受賞されました。約100年前の建物の地域性を活かしたリニューアルを通じてさらなる100年以上利活用できる取り組みが高く評価されました。大学運営・地域連携部門のSC賞は、「琉球大学のCO2排出−5%に貢献!- ICTを用いた新たな環境コミュニケーションの活用」の取り組みが高く受賞されました。環境データの分析と可視化、環境活動への関心向上、省エネ教育の実施による温室効果ガスの削減は、琉球大学モデルとして今後の発展が期待できると評価されました。奨励賞は、「北海道大学雨龍研究林・札幌キャンパスの自然共生サイト認定・OECM登録―ネイチャーポジティブに貢献するサステイナブルキャンパスの創造」の取り組みが受賞されました。日本の大学初となる「生物多様性のための30 by 30アライアンス」への参加、自然共生サイト認定、OECM国際データベースへの登録など、生物多様性保全のための先進的な取り組みが評価されました。学生活動部門のSC賞は、「COGOO学生チーム所有からシェアへ学内シェアサイクルCOGOOの挑戦」の取り組みが受賞されました。複数の大学間連携による、無料で利用可能なシェアサイクルサービスの提供による、二酸化炭素排出の削減および放置自転車の減少に貢献できる取り組みが高く評価されました。奨励賞は、信州大学の学生の省エネルギーに対する意識向上を目指した「省エネアイデアコンペ」が受賞されました。省エネアイデアコンペを実施するだけでなく、検証を行い、省エネ効果(−21%削減)に成功するなど、教職員と学生との協働による新しい道筋を提案されたことが高く評価されました。民間事業者部門の奨励賞は、「日本冷媒・環境保全機構(JRECO)のフロン排出抑制法遵守と冷媒のデータ解析・制御事例の紹介」が受賞されました。冷媒フロン類は、高い温暖化係数のために地球温暖化への影響が非常に大きいことから、冷媒フロン類の法遵守のもとでの維持管理について、高い期待が持てることが評価されました。参加者全員の投票による、SC賞の特別賞は、「COGOO学生チーム所有からシェアへ学内シェアサイクルCOGOOの挑戦」の取り組みが受賞され、今後の活動にさらなる励みとなりました。
最後に、「第13回サステイナブルキャンパス推進協議会(CAS-Net JAPAN)2025年次大会」は、2025年11月7−8日に、北海道大学で開催されることとなりました。今回の京都大学でのノウハウを活かし、強みはさらに強く、弱みは補える場として、サステイナブルキャンパス推進協議会(CAS-Net JAPAN)のさらなる発展的展開が大いに期待できます。
「三重大学ESD-SDGsクラブ」は、CAS-Net JAPAN学生団体の正会員となっており、2022年に三重大学で開催された「第10回サステイナブルキャンパス(CAS-Net JAPAN)2022年次大会」において、学生活動部門のSC賞を受賞しました。2030年の国連持続可能な開発目標(SDGs)の目標達成におよび2050年の脱炭素社会創生(カーボンニュートラル)に向けて、産官学民の緊密な連携による「サステイナブルキャンパス推進協議会(CAS-Net JAPAN)」の全構成員の力を合わせて取り組むことが必要不可欠となります。