中部電力(株)の技術開発本部を会場とする「中部電力テクノフェア2024」が2024年10月24日に開催され、朴 恵淑三重大学地域イノベーション学研究科客員教授・「三重GPN」代表幹事(会長)と安部大樹三重大学人文学部特任助教・「三重GPN」事務局メンバーが参加しました。

中部電力(株)は、電力の安定供給を目的に高度経済成長期の電力需要増大などに対応する研究開発を行なっており、電力品質の向上に加え、2000年の電力小売り自由化に伴い、省エネや電化などの研究開発を進めています。現在では、新たな価値の創出(CSV)を目的として、2022年に「7つの重点分野」を設定し、脱炭素社会の実現及び客の快適性や利便性に対するニーズを先行する技術研究開発を加速しています。

「中部電力(株)の技術研究開発の重点7分野」の主な取り組みは、再生可能エネルギーの拡大、水素・アンモニアサプライチェーンの構築などの重点7分野の技術研究開発をグループ会社とも連携し、推進することとなり、具体的には取り組みは次のようになります。①再生可能エネルギーの拡大(低コスト浮体式海洋風力の技術開発) ②水素・アンモニアサプライチェーンの構築(カーボンフリー水素製造技術の研究) ③原子力発電の最大限の活用(さらなる安全性向上に向けた研究) ④エネルギープラットフォームによる価値提供(グリッド試験設備の構築・検証) ⑤データプラットフォームによる価値提供(IoTセンサなどによるデータ収集、ビッグデータ解析) ⑥お客様との接点拡大・価値提供(電化、加熱燃焼の代替技術の導入) ⑦資源循環事業の展開(資源の地域循環、希少材料のリサイクル技術開発)

特に、水素・アンモニアのサプライチェーン構築エリアにおいて、脱炭素社会実現に向けた水素・アンモニア研究、既存の火力発電所における水素・アンモニア混燃技術、ターコイズ水素製造技術への取り組み、アンモニアクラッキング技術への取り組み、燃焼実験棟でのアンモニア燃焼に関わる技術開発の取り組み、エネルギー・環境実験等での産業分野での水素専焼燃焼器、水素社会実現を支える材料評価技術施設を重点的に見学しました。

(株)JERAの火力発電所のエネルギー効率が、世界のトップランナーであることは知っているものの、脱炭素社会実現に向けた水素・アンモニア研究の先端的技術を見学することができました。2015年12月の国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において「パリ協定(Paris Agreement)」の採択、2021年11月の国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)での「グラスゴー気候合意;Glasgow Climate Pact」、2022年11月の国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)での「シャルムエルシェイク実施計画(Sharm el Sheikh Implementation; Loss and Damage)」、2023年11月の国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)での「UAE 合意文書(The UAE Consensus)」において、気候危機によるエネルギー危機の顕在化が懸念されることから化石燃料からの脱却が必要不可欠となり、その過程において、水素・アンモニアとの混合による温室効果ガスの削減に繋がる、中部電力(株)の取り組みに多くのことを学ぶことができた大変有意義な見学会となりました。

「三重GPN」は、環境・SDGs・持続可能な循環型社会(サーキュラーエコノミー)・脱炭素(カーボンニュートラル)社会創生のための研修会・講演会などを開催するのと同時に、気候危機とエネルギー危機への対応について、産官学民の緊密な連携による見学会の企画など、プラットフォームとしての機能強化を図ります。