ロータリークラブは、1992年12月の国連総会において3月22日を「世界水の日(World Water Day)」に制定されたことをきっかけに、毎年の3月を「水と衛生月間」に定め、安全な水への持続的なアクセス、衛生設備の改善、衛生管理の研修などを行なっています。
2024年3月7日に、「四日市ロータリークラブ」からの要請により、朴 恵淑「三重GPN」代表幹事(会長)は、WHOアジア太平洋環境保健センター(WHOACE)の初代所長でもあることから「国連持続可能な開発目標(SDGs)」と水と衛生を考える」をテーマに講演会を行いました。SDGsの目標6「安全な水とトイレを世界中に」を中心に、地球・地域(三重)の水環境の特徴、気候危機に伴う水危機による被害、ポストコロナ時代を生きる〜ニューノーマル社会創生について語りました。
水の惑星地球の約70%は海に覆われており、地球上の水の98%は海水、約2%は淡水が占めており、その淡水の約70%が極地や氷河、約30%が地下水となっており、人間を含む生物が日常生活で利用できる水は、地球全体の水の約0.03%に過ぎず、水の惑星の地球に存在する淡水は、Blue Gold !!!であることを述べました。
地球上の生き物の頂点に立つ人間は、18世紀の産業革命以降、地球上で最も淡水を必要とする生き物であり、人間の経済活動は、自然の大気や水環境を大きく変えていることを指摘しました。21世紀を生きる私たちは、地球の環境(自然)と人間との良好な関係を考えなければならず、人間が全ての生き物の頂点に立ち、かつ、男性が女性より優位な地位に立つという「EGO」的考え方から、男性や女性の差別のない人間を含む全ての生き物との多様性を保つ生き方の「ECO」的考え方に基づく、21世紀型生き方を考え直す時期に直面していることを語りました。
21世紀において、全世界は気候変動を超えて気候危機に瀕しており、気候危機は、水危機に繋がることを指摘し、世界の気温上昇を1.5度未満に押さえなければ、地球上の人間を含む全ての生き物への命の危機が迫ることを語りました。WHOは、気候危機と健康被害について報告書を発行し、今後、地球温暖化による死者は年間約25万人を予想する一方で、大気汚染による死者は年間約700万人以上の予想を出しています。さらに、発展途上国における水資源をめぐる紛争の多発に警告を出しており、世界の約80億人のうち、約25%に当たる約22億人が安全な飲料水に到達できず、約50%に当たる約42億人が安全なトイレを利用できない状況を報告しており、下痢や感染症の多発、女性や子供たちへの強制労働、性犯罪などについて警告していることを指摘しました。
日本は、2021年10月に「第6次エネルギー基本計画」を閣議決定し、2030年に二酸化炭素を含む温室効果ガスの−46%削減(−50%削減の高み;2013年比)を目標としており、2050年の温室効果ガスのゼロ排出のためのグリーントランスフォーメーション(GX)の推進を掲げていることを述べました。経団連は、「Society 5.0 for SDGs」の実現に向けて、SDGs経営、デジタル革新(DX)を通じて、経済成長だけでなく、社会問題の解決や自然との共生を目指し、大量生産―大量消費―大量消費から資源の有効な利用の促進を促すため、「サーキュラーエコノミー」へのパラダイムシフトが必要不可欠であることから、「三重GPN」の活動内容をさらに、活性化することが必要不可決であることを力説しました。